加入条件
雇用保険への加入は強制的に加入しなければならない事業所か、雇用保険に加入できる労働者かどうかの2点を見なければなりません。
つまり、雇用保険に強制加入しなければならない事業所に雇われていても、加入対象から外れた労働者ですと加入はできません。また、雇用保険に加入できる労働者でも、雇用保険に加入しなくてもよい事業所に雇われている場合も原則として加入できません。
適用事業と暫定任意適用事業
雇用保険に加入しなければならない事業(適用事業といいます)は、原則として労働者を1人でも雇用する場合です。しかし、当分の間、農林水産業のうち農林・畜産・養蚕・水産の事業(国、都道府県、市町村などが行う事業および法人が行う事業は除きます)で、常時使用する労働者数が5人未満の事業(暫定任意適用事業といいます)の雇用保険への加入は任意とされています。
暫定任意適用事業は雇用保険への加入は任意ですから、もちろん加入することができます。次の要件を満たせば雇用保険への加入が認められます。
- 事業主が労働者の2分の1以上の同意を得て加入申請
- 厚生労働大臣(実際は都道府県労働局長)の認可
また、労働者の2分の1以上の加入希望があるときは、事業主は加入申請をしなければなりません。
労働者の2分の1以上とは?
その事業に使用される総労働者数ではなく適用事業となっても被保険者になれない労働者を除いた労働者の2分の1以上をいいます。
被保険者
適用事業に雇用されている労働者は、原則として被保険者となりますが、例外的に次のいずれかに該当する労働者は被保険者になれません。
- 65歳に達した日以後に雇用されるもの(65歳前から引き続き雇用されてる者や短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者に該当する者は除く)
- 短時間労働者で、季節的に雇用される者(日雇労働被保険者に該当するものは除く)
- 短時間労働者で、短期(1年未満)の雇用に就くことを常態とする者
- 日雇労働被保険者に該当しない日雇労働者
- 4ヶ月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される者
- 船員保険の強制被保険者
- 国、特定独立行政法人の事業に雇用される者(離職時に雇用保険の求職者給付・就職促進給付の内容を超える諸給与を受けることができる者に限る)
- 都道府県等の事業に雇用される者(雇用保険を適用しない承認を厚生労働大臣から受けた者に限る)
- 市町村等の事業に雇用される者(雇用保険を適用しない承認を都道府県労働局長から受けた者に限る)
- 65歳に達した日とは?
- 法律上の年齢の計算は、一般的に使われているものとは少々異なります。65歳に達した日とは「誕生日の前日」にあたります。誕生日から数えて1年経過した日は誕生日の前日ですから、65歳の誕生日は法律上65歳と1日になります。
- 短時間労働者とは?
- 1週間の所定労働時間が、同一の事業に雇用される通常の労働者の所定労働時間に比べて短く、かつ30時間未満の労働者をいいます。
一般的には「パートタイマー」と言われますが、1週間の所定労働時間が正社員と同じ時間かもしくは30時間以上(たとえば、1日8時間×週4日勤務=32時間)働いていれば、短時間労働被保険者とは言えません。
被保険者の種類
被保険者を分類すると次の4つになります。
- 一般被保険者
- 高年齢継続被保険者
- 短期雇用特例被保険者
- 日雇労働被保険者
- 一般被保険者とは?
- 高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者以外の被保険者をいいます。
- 高年齢継続被保険者とは?
- 65歳未満の一般被保険者が同一の事業主に65歳以降も継続して雇用される場合、65歳になった日から高年齢継続被保険者となります。(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者は除く)
- 短期雇用特例被保険者とは?
- 季節的業務に期間を定めて雇用される労働者、季節的に入離職する労働者(いわゆる出稼ぎ労働者)、短期(同一事業主に1年未満)の雇用されることを常態としている労働者(日雇労働被保険者は除く)をいいます。既述のとおり短時間労働者で短期雇用される労働者は被保険者となることはできませんから、短期雇用特例被保険者はフルタイム労働者あるいは週30時間以上の労働者となります。
日雇労働被保険者に関しての紹介は省略させていただきます。
一般被保険者、高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者の関係は右の図のようになります。
同一事業主の適用事業に65歳前から雇用されていた一般被保険者は65歳になった日から高年齢継続被保険者となります。
また、短期雇用特例被保険者は同一事業主での雇用期間が1年以上となった日(切替日といいます)で65歳未満であれば一般被保険者となり、65歳以上であれば高年齢継続被保険者となります。65歳以降新たに雇用された短期雇用特例被保険者は切替日において被保険者でなくなります。
被保険者になれない具体例と例外
- 昼間学生 例外:卒業見込みの者が卒業前に就職し、卒業後も当該事業に勤務する予定の者は被保険者
- 同居の親族 例外:事業主の命令によって勤務している、他の労働者と就業実態が同じ、事業主と利益を一にする地位にないことを満たせば被保険者
- 派遣労働者 例外:登録型派遣労働者が同じ派遣元事業主に1年以上雇用されることが見込まれるとき、あるいは契約が1年未満であっても次の雇用契約との感覚が短く、その状態が通算して1年以上続く見込みがあるとき、かつ週労働時間が20時間以上であるときは被保険者
- 外国公務員および外国の失業補償制度の適用を受けていることが立証された日本在住の外国人