基本手当の額及び日数

受給できる基本手当の額は、退職する直前の賃金から算出され、支給日数は大きくは退職理由で日数形態が決められ、被保険者期間の長さや年齢で決定します。

基本手当をできるだけ高額かつ長期間受給しようとすると、退職前に時間外労働(残業、休日出勤など)を多くして、自己都合退職にしないことです。

基本手当の額

基本手当の額は賃金日額をもとに算定されます。その賃金日額とは、算定基礎期間において被保険者期間として計算された最後の6ヶ月間の賃金総額を180(日)で割った金額をいいます。ただし、3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナス、退職金など)は除きます。

育児・介護休業等における算定の特例

育休特例

育児・介護休業期間中または育児・介護に伴う勤務時間短縮措置によって賃金が喪失または低下しているときに、倒産、解雇等の理由で離職した場合、離職時の賃金日額が休業開始前または時短措置前の賃金日額より低下しているときは、休業開始前または時短措置前の賃金日額に基づいて基本手当の日額を算定します。

この特例の対象となるのは、次のいずれにも該当する受給資格者です。

  • 小学校就学前の子を養育するための育児休業または時短措置、対象家族を介護するための介護休業または時短措置のいずれかを受けていること。
  • 休業または時短措置で賃金が支払われていないか低下していること。
  • 休業または時短措置期間中に倒産や解雇によって離職し、特定受給資格者として受給資格決定を受けたこと。
  • 休業または時短措置の開始日前日から1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること。

賃金日額の範囲

賃金日額には最低限度額と最高限度額があり、60歳以上65歳未満、45歳以上60歳未満、30歳以上45歳未満、30歳未満の4つの年齢階層ごとに決められています。ただし、最低限度額は各年齢層共通です。

基本手当の日額

基本手当の日額は、賃金日額×給付率で求めます。給付率は、離職日において60歳以上65歳未満の者と60歳未満の者とでは次のように異なります。

賃金日額の範囲は年度によって変更される場合があります。
原則離職日60歳以上65歳未満
賃金日額基本手当の額賃金日額基本手当の額
2,320円以上4,640円未満賃金日額×80%2,320円以上4,640円未満賃金日額×80%
4,640円以上11,740円以下賃金日額×80%~50%4,640円以上10,570円以下賃金日額×80%~45%
11,740円超賃金日額×50%10,570円超賃金日額×45%

基本手当の減額

基本手当減額

受給資格者が、失業の認定にかかる期間中に自己の労働によって収入を得た場合は減額されることがあります。この自己の労働とは原則として、1日の労働時間が4時間未満のもので、就職とはいえない程度のものをいい、自己の所有する物を売ったりして得る収入や、預金金利などは含まれません。

全額支給の場合
1日の収入+基本手当日額-控除額≦賃金日額×0.8
減額支給の場合
1日の収入+基本手当日額-控除額>賃金日額×0.8
この場合は、超過分を基本手当から控除して支給されます。
不支給の場合
1日の収入-控除額≧賃金日額×0.8

基本手当の受給期間

一般的な受給資格者は、離職の日の翌日から1年間基本手当を受給できる権利があります。年齢や離職理由で決まる所定給付日数が1年を超えて残っていたとしても基本手当は支給されませんから、受給手続は離職後早めに行うことをおすすめします。

ただし、以下の人たちは1年を超える受給期間が設定されています。

  • 離職日において45歳以上65歳未満で算定基礎期間(在籍期間)が1年以上の就職困難な受給資格者は1年+60日
  • 離職日において45歳以上65歳未満で算定基礎期間が20年以上の特定受給資格者は1年+30日

就職困難な受給資格者とは?

  • 身体障害者、知的障害者、精神障害者
  • 保護観察に付された者またはその者の職業斡旋に関し、保護観察所長から公共職業安定所長に連絡のあった者
  • 社会的事情により就職が著しく阻害されている者(同和関係住民およびウタリ地区住民)

特定受給資格者とは?

  • 倒産等により離職した者
  • 大量の雇用変動の届出がなされたたため離職した者および被保険者の3分の1を超える被保険者が離職したため離職した者
  • 事業所の縮小に伴い離職した者
  • 事業所の移転により通勤が困難となったため離職した者
  • 解雇(被保険者が起こした重大な理由によるものを除く)により離職した者
  • 当初かわした労働契約と労働条件が著しく相違したことにより離職した者
  • 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されることになった場合で、その労働契約が更新されないこととなったため離職した者
  • 事業主や同僚などから就業環境が著しく害されるような言動(セクハラ、パワハラなど)を受けたことにより離職した者
  • 事業主から退職勧奨を受けたことにより離職した者
  • 使用者の責任による休業が引き続き3ヶ月以上となったため離職した者
  • 事業所の業務が法令に違反したことにより離職した者
  • 希望に反して契約更新がなかったことにより離職した者
  • 正当な理由のある自己都合により離職した者

受給期間の延長

次の理由により引き続き30日以上職業に就くことができない期間があるときは、申し出によりその期間を入れて最大4年まで受給期間を延長することができます。

  • 妊娠
  • 出産
  • 育児
  • 疾病または負傷
  • その他公共職業安定所長がやむを得ないと認めるもの

この申し出は、30日以上職業に就くことができなくなった日の翌日から1ヶ月以内にする必要があります。

受給期間の特例

60歳以上の定年退職者や60歳以上の定年後の勤務延長または再雇用の期間満了による離職者は、一定期間休職の申し出を希望しない申し出をすることができます。その猶予期間は1年を限度とし、離職日の翌日から1年間にその猶予期間を加えた期間を受給期間とすることができます。ただし、前項の延長理由がある場合でも、最大4年までとされています。なお、この申し出は、離職日の翌日から2ヶ月以内にする必要があります。

基本手当の待期

基本手当は求職の申込みをすればすぐに支給されるわけではなく、求職申込日以後7日間は支給されません。この7日間には、傷病で職業に就くことができない日も含まれます。また、原則1年間の受給期間内に就職したものの新たな受給資格を取得することなく再離職した場合、再度7日間待期する必要はありません。

基本手当の所定給付日数

基本手当の所定給付日数は、離職日における年齢、算定基礎期間(在籍期間)、就職困難者であるかどうか、特定受給資格者であるかどうかで細かく分類されています。

自己都合退職による一般の受給資格者
年齢算定基礎期間
20年以上10年以上20年未満10年未満
全年齢150日120日90日
就職困難者である受給資格者
年齢算定基礎期間
1年以上1年未満
45歳以上65歳未満360日150日
45歳未満300日150日
特定受給資格者
年齢算定基礎期間
20年以上10年以上
20年未満
5年以上
10年未満
1年以上
5年未満
1年未満
60歳以上65歳未満240日210日180日150日90日
45歳以上60歳未満330日270日240日180日90日
35歳以上45歳未満270日240日180日90日90日
30歳以上35歳未満240日210日180日90日90日
30歳未満*****180日120日90日90日
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